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1998/03/15号 | 自家製和菓子・いなりずし 越後家

さくら餅”“草餅”“うぐいす餅”…。和菓子屋の店先にこんな貼紙が目立ち始めると、春の気配に身も心もソワソワする。季節と味覚の“深い仲”を、私たちの体はちゃんと心得ているのだ。
 「こんな目立たない所にあっても、お客さんが来てくださるのは有難いですよ。もっとも、味と品質には気をつかってるけど…」と、店主の矢野ハツさん。先年亡くなられたご主人と二人三脚で、連日売り切れの店を作り上げた自負がある。
 「うぐいす餅」を食べる。上に掛かった青きな粉の色鮮やかさが、名前の由来を物語っている。よく練れた餡(あん)のなめらかさと、7分ほどに抑えられたほのかな甘さの調和ぶりは堂に入ったもので、かなり上品。加えて、どの品も安い。
 手作りなので数に限りがあり、いわば薄利“少”売。そのかわり、熱烈なファンという“宝”を多く持つ。


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